ぺりぺりぺ

大手IT金融OLの戯言

「かぼちゃの馬車」はどう転んでも破綻するケースだった

ぺりかんちゃんです。かぼちゃの馬車をサブリースしていた会社のスマートデイズが破産申告に入りました。まあ、そうなる、わな。

 

さて、かぼちゃの馬車については過去に書きました。

pelicanchan.hatenablog.com

 

ここで書いたのはあくまでも賃貸需要の話ですが、今回はもっと掘り下げて【物件価値】にスポットを置いて書きたいと思います。

 

かぼちゃの馬車の物件はランドセット(土地と建物がセット)で販売されていました。

基本、土地の価格は路線価を元に割り出されます。言うまでもないですが都心になればなるほど路線価は高くなります。この路線価は1年ごとに作りかえられていて、まあ基本大きく変わることはないのでしょうが近くに大型ショッピングモールができただとか、凶悪犯罪が起きたなどで毎年若干前後します。

 

で、ランドセットの物件のデメリットなんですが。セット売りなので価格設定をどうにでもできるってところがあるんです。実際かぼちゃの馬車の物件価値としては売りに出されていた価格の半分程度だと言われていますが、私もそうだと思う。

 

物件価値もそうですが商品って新品であろうと一旦人の手に渡ると価値が下がりますよね。購入価格から再販売価格を引いた部分を信用毀損っていうんですが、そもそもの物件の価値が購入金額以下なのに、そこからさらに信用毀損が発生するんです。

 

例えば1億円で買った物件(本来なら相場としてせいぜい5000万くらいの価値としましょう)一旦人の手に渡った時点で物件価値としては4000万円くらいになります。例えばこの物件が相場価値での売買契約であれば信用毀損は5000-4000で1000万の損失になりますが、このかぼちゃの馬車の場合そもそもの物件の価格設定からしておかしいので、実質1億-4000で6000万円の信用毀損が発生するのです。赤字に苦しんだオーナーが手放そうとして売ったところで本来なら8割方回収できるところが立ったの4割しか回収できないんです。だから手放すよりもかぼちゃの馬車の需要が上がることを祈っての一攫千金のチャンスにかけて物件を保持し続けた理由もわかります。このスキーム、わかったでしょうか。

 

あともっと掘り下げて話すと、次にもし物件を持とうとした時に自己資金がない場合は今所有している物件(投資用物件はもちろん持ち家も入る。)を担保に入れることができます。が、信用毀損が大きすぎる物件はその時点で評価額がマイナスになります。要は再販売価格が実質担保額として相当するので、1億で買ったのに4000万の評価しか受けない、ということで次の物件を買い進める時にマイナスになってしまうのです

例えばもし相場の5000万で買っていたら、担保に入れて実質評価額は4000万、自己資金も差し引き5000万あるという計算になります。全然銀行からの印象が変わるよね、ってことです。

 

そもそも物件価値がこれだけ乖離していたら初期段階で読めたんじゃないの?という人もいるかもしれない。ただこれはシェアハウスだったから読みにくかったとしか言わざるを得ない。シェアハウスってそこまで乱立しているわけじゃないよね。賃貸物件なら間取りごとにスッッゴイ田舎町じゃない限り相場価値がスーモなりホームズなりで出せるけど、比較対象の少ないシェアハウスゆえにここを見抜きにくかった。その上シェアハウスブームで今後物件需要が見込めると思った人もいたのではないかと。というかそもそもこれに投資した人たちがこういう物件が失敗ってことにすら気がつかないんだからンゴゴゴじゃsg(検閲により削除)

 

 

かぼちゃの馬車の売り出し方はとにかく悪質でした。通帳改竄を行なったスルガ銀行もそうだし、本来なら相場以下、半額程度の物件に上乗せした価格で売り出したスマートデイズや不動産セミナー等を開催した不動産会社、悪いと思うよ。でもねどう考えてもこのかぼちゃの馬車はダメなんだよ。投資家って男性の方が多いだろうし、こういう若い女性をターゲットにしているところもあってこういった物件の需要のあるなしを読む力というのは私の方があったのかもしれないけど、ダメなんだよ。これは典型的な失敗するシェアハウスです。私も大家業をやり始めましたが、真っ先に避けるべき案件。表面上の利回りが9%くらいに設定されていて、そこを美味しいと思ったんだろうね。ただこれは激甘濃密ハニートラップである。そこを見抜けなかった投資家も正直アホだよ。申し訳ないけど。同じ投資家として無知なことを知らしめただけだと思う。

 

そりゃスマートデイズ側に怒る気持ちもわかるよ、でもそれをひっくるめての投資なんや。絶対に儲かる投資があるならみんなやってる。リスクもあるからこその投資なんです。そこをわかった上でやってほしいですね。